まごころ歯科ブログ
咬合談話会で全調整咬合器の実習
2017年10月29日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
先日、咬合談話会の実習に参加いたしました。
今回はパントグラフで精密に記録した顎の運動を、全調整咬合器に再現する実習でした。六枚の描記板を使用した顎運動の記録と再現は圧巻でした。半調整咬合器や平均値咬合器との違いや、顎運動を考えるときのポイントがよく分かり非常に勉強になりました。複雑な操作ではありますが、体系化されており、パントグラフやスチュワートの咬合器を開発した先人の知恵にはただただ感動するばかりです。
また、咬合器調節の際の細かな技術など、膨大な臨床経験から生み出されたであろう工夫を、惜しげもなく、夜遅くまでご指導してくださる栗田先生に心から感謝いたしております。
栗田先生の謙虚かつ情熱的な歯科臨床に対する姿勢には、自分が進むべき臨床家としての生き方を考えさせられます。今後ともご指導の程、どうか宜しくお願いいたします。
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歯内療法学会の認定臨床研修会に参加
2017年10月12日
先日、日本歯科大学で行われた歯内療法学会の認定臨床研修会に参加してまいりました。
歯内療法とは歯の根の治療のことです。
歯の根の治療は見た目には関係ないため、一見非常に地味な治療です。しかし建築物の基礎工事と一緒で、目に見えないところこそが重要です。根の治療をおろそかにすると、根尖性歯周炎という病気を引き起こします。
根尖性歯周炎になると、歯の根の先に炎症が起こり、ひどくなると咬むたびに大きな痛みがでるようになります。歯を健康な状態で、長期間保存していくためには、精度の高い歯内療法を行うことが重要です。
今回の研修会は、優れた弾性をもつニッケル・チタン製のファイルによる繊細な治療法、超音波を利用した根の中の洗浄や新しい消毒法、コンビームCTやマイクロによるより正確な診断など、『最新歯内療法術式』についての内容でした。
研修会では大学時代の同級生をはじめ、積極的に歯内療法に取り組んでいる先生方と話すこともでき、とても良い刺激になりました。
近年ではインプラント治療が発展しておりますが、やはり天然の歯を守ることが一番重要なことと思います。
できるだけ歯を抜かない治療のために、今後もより精度の高い歯内療法を行えるよう日々精進していきたいと思います。
『食後すぐ歯磨きはダメ』という説は本当か?
2017年10月11日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
子供の頃、私の家の洗面台には『食べたら磨こう!!』というステッカーが貼ってあり、両親から食べたらなるべくすぐ歯磨きするように教わってきました。エチケットとしても、歯を守るためにも、大切なことだと思います。
ところが、最近、食後すぐに歯をみがくと、歯の表面が傷ついてしまうので、食後時間をおいてから磨いた方がよいという話を耳にします。
この話は本当なのでしょうか?
それとも都市伝説のようなものなのでしょうか?
『食後すぐ歯を磨くと、歯の表面が傷ついてしまう』という内容に近い論文は確かに存在します。『象牙質』の酸に対する抵抗性を調べた実験についての論文です。
実験では炭酸飲料に象牙質の破片をつけると、象牙質が弱くなることが示されています。
炭酸飲料は酸性でPh5程度です。歯にダメージが出やすいPhは5.5以下といわれていますので、炭酸飲料を飲むと歯の表面が溶け、傷つきやすくなるわけです。ちなみにPhは低ければ低い程、酸性度が強く、歯へのダメージはでやすくなります。
この実験ではさらに、炭酸飲料でダメージを受けた象牙質の破片を、30分以上、口に含んでいると、唾液の作用で象牙質が再び強くなることが示されております。
唾液には緩衝作用があり、酸を中和する働きがあるのです。
実験の結果から、食後30分以上してから歯磨きした方が良いと言われるようになったのですが、この実験が示しているのはあくまでも、『炭酸飲料を飲んだ直後に歯を磨くと、歯を傷めやすい』ということです。
もっというならば『炭酸飲料を飲んだ直後に歯を磨くと、歯の象牙質を傷つけやすい』ということです。
しかし、実際の口の中は、実験室とは大きく異なります。
『象牙質』の周囲には、『象牙質』よりはるかに頑丈な『エナメル質』があり、象牙質を保護しています。また、炭酸飲料のような酸性の食べ物ばかりをいつも食べているわけではありません。
こうしたことを考慮すると食後すぐの歯磨きで歯を傷つけてしまうリスクはとても小さなリスクといえます。
むしろ食後すぐ歯を磨くことで、口の中の汚れを落とし、虫歯菌や歯周病菌が繁殖しにくい環境をつくることのメリットの方がはるかに大きいと思います。
ですので、炭酸飲料を飲んだ直後に歯磨きをするのは控えるべきかと思いますが、普通に食事した後であればすぐ歯磨きをして全く差し支えないと思います。
まごころ歯科では、虫歯予防のため、食後すぐの歯磨きの習慣を身につけていただくことをお勧めいたします。
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日本口腔インプラント学会学術大会に参加
2017年09月27日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
先日、仙台で行われた日本口腔インプラント学会に参加してきました。
今回も全国から多くの歯科医師が参加し、非常に熱気のある学会でした。
今回のメインテーマは『インプラント治療が拓く未来 ミート・ザ・フロントランナー』とのことで、超高齢者社会と向き合い、インプラント治療が果たしていく役割を検証するといったものでした。
まさにフロントランナーとして、日本のみならず、世界で活躍していらっしゃる方々の講演を聞くことができ非常に勉強になりました。
特に骨造成術について、かつて行っていた方法と現在の方法を比較し、安全に確実な骨造成をするためにはどのようなことを考慮された東京医科歯科大学の春日井先生の講演は非常に勉強になりました。
また、新しい骨補填材であるリフィットをソケットプリザベーションに使用した研究も非常に興味深いものでした。
リフィットはナノレベルの結晶構造まで生体骨に近づけた骨補填材で、骨に置換されるのがこれまでのHA系骨補填材よりも早いといわれております。形状もスポンジ状で扱いやすい材料です。
今回の研究発表では、リフィットの使用により、歯槽骨の保存が確認され、しかも骨にきっちり置換しており、リフィットはソケットプリザベーションに有効とのことでした。新しい材料であるため、今後様々な臨床研究がでてくるものと思います。
インプラント治療は飛躍的な進化し、かつてスタンダードとされてきたことも、今では通用しなくなってきております。
まごころ歯科クリニックは、杉並区、久我山、高井戸地域において、質の高いインプラント治療を提供し、皆様の健康維持、増進に貢献できるよう日々取り組んでいきます。
これからも積極的に最新の歯科医療を習得していくよう努めてまいります。
ズキズキ痛む、虫歯の痛みの理由
2017年08月28日
虫歯を放置していると、急にズキズキと痛みだすことがあります。
ひどい場合には、痛み止めを飲んでも効かず、
心臓の鼓動に合わせるかのように
ズキンズキン、ズキンズキン・・と痛くて夜も眠れなくなってしまいます。
こんなときは、歯の神経の炎症である『歯髄炎』になってしまっていると考えられます。
では歯髄炎はどうしてそんなにも痛いのでしょうか?
今日は歯髄炎のメカニズムについて簡単に解説しようと思います。
まず重要なこととして、いわゆる歯の神経である『歯髄』は非常に硬い組織である歯の中にあるということです。
歯髄で炎症が起きると、硬い歯の中に血液が溢れかえるように増え、高い圧力が発生します。
硬い組織に覆われていなければ、炎症が起きても腫れあがることができますので、圧力が高くならず、大きな痛みは出にくいのですが、歯髄の場合には腫れることができません。発生した圧力が歯髄を圧迫するので、ズキンズキンと脈動に合わせて激痛が走るのです。
さらにこのように歯の中で圧力が高まると、歯髄はその力に耐えられず、部分的死んでいきます。
死んだ歯髄の部分がまた、次の炎症の原因となり、さらに圧力が高まります。こうして次々と連鎖的に炎症が起こるため、一度歯髄炎が起こると、一つの歯の中の歯髄全体が死ぬまで炎症は続きます。
このような状態のとき、痛み止めは効きにくく、とてもつらいことになります。
そして一旦死んでしまった歯髄は生き返ることはありません。放置すると、歯髄の残骸は腐敗し、今度は周囲の骨に炎症を起こしますので、歯医者で根の治療を受け残骸が取り除く必要があります。
こうした歯髄炎を予防するには、日頃からまめに歯磨きをし、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることが重要です。
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