まごころ歯科ブログ
親知らずは必ず抜歯が必要?
2017年07月31日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
今日は親知らずについて説明したいと思います。
『親知らずは必ず抜歯しなくてはならなのでしょうか?』
患者様からよくこんな質問を受けることがあります。
答えはもちろんNOです。親知らずだからといって必ず抜歯しなければならないわけではありません。
たとえば、まっすぐ生えていて、咬み合わせに参加している親知らずは他の歯と同じようにできるだけ保存した方が良いでしょう。また、骨の中深くに潜っている親知らずの場合、汚れが侵入しにくく、悪さをすることはまれですので、こうした場合も抜歯の必要はないでしょう。
では、どんな場合親知らずの抜歯が必要なのでしょうか?
①斜めに生えていて頭が歯肉からでてきている親知らず
斜めに生えている親知らずは、ほとんどの場合、隣の歯にぶつかって止まっていますので、今後方向を変えてまっすぐ生えてくることはありません。また、斜めに生えた親知らずは隣の歯との間に汚れがたまりやすく、腫れたり、虫歯になる可能性が高いです 。親知らずだけでなく、隣の歯も虫歯や歯周病にかかってしまうリスクが高いため、こうした親知らずは抜歯をすることが望ましいです。
②ブラッシング困難で虫歯になっている親知らず
斜めに生えている親知らずでなくとも、非常に口の奥の方に位置していたり、歯肉が半分被っていたりして、ブラッシングが難しい親知らずがあります。こうした場合、虫歯になるリスクが高く、神経まで虫歯がすすんでしまっていることも少なくありません。通常神経まで達した虫歯は歯の根の治療をし保存するのですが、親知らずの神経は極端に曲がっているものが多く、適切な根の治療が困難です。こうした親知らずの場合は再発のリスクも考慮し抜歯すべきことが多いです。
①②の場合には、抜歯が必要ですが、逆にいえば、その他のケースで無理に抜歯する理由はありません。
また、親知らずを抜くときにはリスクもあります。
親知らずの付近には下歯槽神経という骨の中を通る大きな神経があり、この神経を傷付けないようにしなければなりません。親知らずと下歯槽神経がくっ付いている場合には抜歯を避けるケースもあります。
親知らずと下歯槽神経の位置関係を正確に把握し、安全な抜歯を行うためにはCT撮影が有効です。CT撮影なら三次元的な位置関係がわかるため神経麻痺のリスクを大幅に下げることができます。
当院では親知らず抜歯の際には、必要に応じてCT撮影を行い、安全な治療を心がけております。
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歯磨き粉を選ぶポイント
2017年07月17日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
皆さんはどんな歯磨き粉を使っていますか?
ドラッグストアには数多くの歯磨き粉があり、価格もまちまちです・・。
当院でも日々の診療の中で、多くの患者様から
『ハミガキの選び方について教えて下さい。』
との声をいただいております。
そこで今日はどんな歯磨き粉を使うことが適切なのか、歯磨き粉について書いてみたいと思います。
まず、最初に忘れてはならないことは・・
どんな歯磨き粉を使うかより、どのように歯を磨くかの方がはるかに重要ということです。
口の中の虫歯菌や歯周病菌はバイオフィルムというバリアーをつくり、歯にへばり付きつつ、身を守っています。このバイオフィルムは化学的な薬は効きにくく、むしろ物理的にブラッシングで取り除くことの方が断然効果的です。
ですので、いくら高価な歯磨き粉を使っていてもブラッシングの方法が適切でなければ、虫歯を防ぐことはできません。反対に、たとえ歯磨き粉を使用しなくても適切なブラッシングができていれば、十分に虫歯を予防することができます。
つまり、極端に言うと歯磨き粉には、汚れを落とす効果はさほど必要ないということです。
むしろ、汚れを落とすための研磨剤が沢山入っている歯磨き粉は歯の表面に傷を作ってしまい、かえって汚れが付きやすくなってしまいます。
ですので、歯磨き粉は、『歯を傷つけにくい』、『低研磨性』、『研磨剤無配合』などの記載があるものを選ぶことをお勧めいたします。
歯磨き粉に求められる効果は、汚れを落とす力より、むしろ傷ついた歯の表面を修復する力です。
歯の表面を修復する成分として、代表的なものは『フッ素』です。『フッ素』は日本で販売されている8割以上の歯磨き粉に配合されています。
フッ素には歯の表面を修復し、強化する効果がありますので、積極的に使用するといいと思います。ただし、フッ素はインプラントと相性が悪いという話もあります。数本のインプラントなら問題ありませんが、沢山のインプラントが口の中に入っている方の場合には注意が必要です。
詳しくはインプラントに対するフッ素の影響についてを参照して下さい。
また、最近では歯の表面を修復する作用として、『ミネラル』や『ナノ粒子のハイドロキシアパタイト』を配合したものもでてきております。どの成分が一番効果的なのかは難しいところですが、『歯の表面の修復』に着目した記載のある歯磨き粉を選ぶことがお勧めです。
以上のポイントを押さえていれば大丈夫ですが、できれば、歯科医院を受診し、自分の現在の状態にあった効果をさらにプラスした歯磨き粉を選んでいただけると、なお良いと思います。
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松尾先生の実習に参加
2017年07月01日
こんにちは
まごころ歯科の荻原真です。
先日インプラントの勉強会に参加してきました。
今回は『多くの歯がない方に対して、どのようにインプラント治療を行うべきか』といった内容が中心のセミナーでした。
多くの歯がない場合、もとの咬み合わせが失われておりますので、新たに適切な咬み合わせを作ることが重要です。咬み合わせには様々な要素が絡んでおり、非常に奥の深い話ではありますが、簡単にいうと・・
①適切な顎の位置で咬み合わせが機能していること(中心位)
②咬み合わせを支える歯がそろっており、適切な平面に並んでいること(バーチカルストップ・咬合平面)
③犬歯が適切に機能し、奥歯や顎を保護する役割をはたしていること(犬歯誘導)
といった要素が整っていることが重要です。
ただ美しいだけでなく、しっかりと機能し続ける治療を行うためには、咬み合わせのことをよく考えて治療をする必要があります。
今回のセミナーでは精度の高い仮歯(プロビジョナル)を使用して、適切な咬み合わせを考えて、全体的なインプラント治療を進める方法について、東京SJCDで理事をされている松尾幸一先生に詳しく解説していただきました。
松尾先生の洗練された美しい治療のスライドを拝見させていただき、大変勉強になりました。
パラレルCCインプラントについてのセミナーに参加
2017年06月28日
まごころ歯科クリニックの院長の荻原真です。
今回は最新のインプラントであるノーベルパラレル・コニカル・コネクションを使った治療についてのセミナーに参加しました。
コニカル・コネクションとはインプラントの2つのパーツの接続方法のひとつです。
インプラントは本体のパーツと、アバットメントといわれる柱の部分のパーツの2つのパーツを合わせて使用します。
この接合部は従来は単純にネジでとめる構造になっていました(バットジョイント)。
しかし、インプラントには咬むことによる強い力が加わるため、バットジョイントの接続ではミクロな隙間ができてしまい、唾液や細菌が侵入してしまいやすい欠点があります。そこで、近年では、よりぴったりと接合できるコニカル・コネクションといわれる構造のインプラントが増えております。
コニカル・コネクションとは接合部にわずかに円錐状の傾斜をもたせることにより、摩擦力によって強固に密着させる構造のことです。
イメージとしては鉛筆と鉛筆のキャップのように、ぎゅっと密着してとまっているような構造です。
当院では複数のタイプのインプラントを使用しておりますが、すべてコニカルコネクションの形式のものとなっております。
今回のセミナーでは、美しい治療が求められる前歯にインプラントをいれる場合の理想的な治療方法や、最終的なセラミック歯を取り付けるまでの仮歯(プロビジョナル)の合理的な使用方法などについて、梅田和徳先生に詳しく解説していただき、大変勉強になりました。
ノーベルガイドを使用したインプラント手術
2017年06月18日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
先日ノーベルガイドを用いたインプラント手術を行いました。
ノーベルガイドとは、インプラント手術をより正確に行うためのサージカルテンプレートを用いた治療システムのことです。
ノーベルガイドを使用することで、治療計画からインプラントの埋め込みまで、より安全で正確に行うことができます。ノーベルガイドを使用するには、事前の準備が大切です。
まず、事前に患者様のCT撮影と口の中の正確な型をとります。それらの情報を組合わせて、インプラントを埋め込む位置やインプラントのサイズをコンピューター上でシュミレーションします。
適切と思われるシュミレーションができたら、シュミレーションデータをノーベルバイオケア社へ送り、手術用のテンプレートを作製します。
手術のときに、このテンプレートを用いれば、事前の計画通り、正確な位置にインプラントを埋め込むことでできるわけです。事前に何度もコンピューター上で手術のシュミレーションをしておりますので、非常にスムースにストレスなく手術を行うことができます。手術も短時間で行うことができますので、患者様のストレスも減り、術後の腫れもでにくくなります。
インプラント手術に限った話ではありませんが、いかに正確に、そして患者様のストレスを少なく治療できるかが、これからの医療では大切だと思います。
医療技術は日進月歩しています。私もより安全で、正確な治療のために、日々精進していきたいと思います。
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