まごころ歯科ブログ
虫歯と歯周病。より危険なのはどっち?
2018年03月04日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
虫歯と歯周病どちらも放置すれば、歯を失う大きな原因となりますので、もちろんどちらにも注意が必要です。
しかし、今日はあえてどちらがより危険かについて、自分なりの考えを書いてみたいと思います。
子供のうちは歯周病のリスクは低く、特殊な場合を除いてあまり問題になることはありません。ところが、20代以降になると歯周病のリスクは徐々に増加してきます。そして40代後半になると、虫歯より歯周病で歯を失う方が増えてきます。
歯を失う原因の第一位は歯周病で、全体の41%に及びます。それに対して虫歯は第二位で全体の32%です。歯を失うリスクの観点からいえば、歯周病の方がやや高いということになります。
これは、虫歯は冷たいものがしみたり、ずきずき痛んだりと、痛みを伴うことが多く、すぐ治療されやすいのに対し、歯周病は症状なく進行することが多いため、発見が遅れがちなことが関係していると思われます。
『虫歯はどうしてそんなにも痛いのか』をご参照下さい。
特に若いときはあまり虫歯にならなかった方は、歯医者で定期検診を受ける習慣がない方が多く、実は歯周病が進んでいる方が多いです。
また、虫歯は単独の歯で進むことが多いですが、歯周病は口の中全体で進みやすく、一度に多くの歯を傷める傾向にあります。
さらに、歯周病は、心臓病や、糖尿病の原因の一つともいわれており、全身疾患とのかかわりが近年指摘されており、全身の健康のためにも注意が必要です。詳しくは『きれいに歯磨きして心筋梗塞を予防』を参考にしてください。
このように、様々な観点から考えると、年齢が上がるにつれて、歯周病のリスクが虫歯のリスクを上回ってくると言えます。
いずれにしても、虫歯と歯周病を予防するためには、日々の歯磨きと、歯科医院での定期検診が有効です。
大切な歯を守るため、ぜひ定期的な歯科検診を受けていただければと思います。
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全ての虫歯を削ることが正しいわけではない
2018年02月12日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
『虫歯は自然に治ることがないため、虫歯になってしまったならば、できるだけ早く虫歯を削って埋める必要がある。』という考えが根強くあると思います。ですが、必ずしも全ての虫歯を削ることが正しくないことが近年指摘されております。
今日は虫歯を削る基準について書いてみようと思います。
言うまでもなく虫歯にならないよう虫歯を予防することが最も重要です。しかし、すでに虫歯になってしまった場合、虫歯がたどる変化には3つの可能性があります。それは①回復②停止③進行です。
ごく初期の虫歯であれば①回復の可能性があります。厳密には元通りになるわけではありませんが、歯の最表層の初期虫歯であれば、フッ素を塗布することで歯の再石灰化をうながし、虫歯を削らずとも修復することができます。
さらに虫歯がそれ以上に進んでいたとしても、適切な歯磨きや定期的クリーニングなど適切なケアがなされていたならば、虫歯は②停止する可能性があります。
歯を削って埋めたとしても現代の医学では人工物埋めた部分と天然の歯の境界部は『ツギハギ』の状態になります。歯科材料は発達し、より強固にぴったりと修復できる素材もでてきましたが、この『ツギハギ』の部分が、再び虫歯になるリスクは、無垢の歯に比べて高いことは間違いありません。こうした虫歯は『二次うしょく』といわれ、多くみられます。
ですので、虫歯が停止している場合には、いたずらに削って埋めることは必ずしも理にかなっているとは言えません。毎日の歯磨きを励行し、定期的に専門的なクリーニングをして経過をみることの方がメリットが大きいことも十分に考えられるのです。虫歯を削るべきか、経過をみるべきかは、患者さんの希望も確認し、慎重に判断する必要があります。
日本保存歯科学会の『うしょく治療のガイドライン』では、虫歯を削る基準として次のようなことを挙げています。(このブログでは平易な言葉に変えてあります。)
①歯を乾燥した状態で虫歯の穴がみられる
②食片がつまる、冷たいものがしみる等の自覚症状がある
③審美障害の訴えがある
④X線で象牙質1/3を越える虫歯がみられる
⑤虫歯のリスクが高い要因がある
これらの中で当てはまるものがある場合、削ってうめる治療の対象となります。特に複数当てはまるものがあれば、ただちに治療することが必要です。
いずれにしても、虫歯があれば、手当たり次第削ってうめるという歯科医療から、なるべく削らない歯科医療へと変わってきているのです。
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世界で最も虫歯・歯周病が少ない国
2017年12月31日
『世界で最も虫歯・歯周病が少ない国』はどこか、皆さんご存じでしょうか?
北欧の国、スウェーデンです。
日本では70代で残っている歯の数は約15本あるのに対し、スウェーデンでは70代で残っている歯の数は約22本です。
日本も以前に比べればだいぶ良くなりましたが、スウェーデンと比較すると、歯の残存率に大きな差があるのです。親知らずを除いた人間の歯の数は28 本ですので、スウェーデンでは70代になっても6本しか歯失っていないことになります。これはすごいことですね。
実はそんな予防先進国であるスウェーデンも、かつては、虫歯や歯周病の人の多い国でした。今の日本と同じように治療中心の歯科医療が行われ、歯を失ってしまう人も多かったとのことです。
スウェーデンが変わるきっかけとなったのは、現在では予防歯科分野で名高いスウェーデンのイエテボリ大学のとある研究だったと言われています。
その研究とは、虫歯や歯周病と口腔ケアの関連についての大規模な統計調査です。研究の結果、虫歯や歯周病を防ぐには、歯科医院での定期的なクリーニングと、自分自身での毎日のブラッシングの両方が重要であることが、数値として明らかになりました。
スウェーデン政府は、この結果を受けて、1970年代に予防歯科の一大プロジェクトを行いました。
それまでは虫歯になったら『治療』することが当たり前だった時代に、虫歯を『予防』するという考え方を国の政策として取り込んだのです。そして、国民に定期的な歯科健診を受けることを促し、本格的な予防歯科の取り組みを行いました。現在、スウェーデンでは20才未満の国民は、歯科検診と治療を無料で受けることができます。スウェーデンでは、子どもの時から歯科健診の習慣が身についているため、大人になっても歯科検診を受けることが当たり前になっているのです。
日本にはスウェーデン程、国をあげて予防歯科に取り組む体制は、残念ながら、まだありません。しかし、予防歯科の取り組みが、歯を守り、健康な生活を送る上で大切であることは明らかなことです。治療中心の医療より、予防中心の医療の方が長い目でみれば、経済的にも安くすみます。
まごころ歯科も、スウェーデンに習い、予防中心の歯科医療を展開し、高井戸・久我山地区から、予防歯科の習慣を広めていきたいと思っています。
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きれいに歯磨きして心筋梗塞を予防
2017年08月23日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
皆さんは心筋梗塞という病気をご存じでしょうか?
心筋梗塞は心臓に血液を運ぶ血管が詰まり、心臓の筋肉が壊死してしまう病気です。日本人の死因の第二位といわれており、毎年4万人ほどが急性心筋梗塞で亡くなるといわれております。
この心筋梗塞と歯周病との関連が近年指摘されております。
口の中の病気である歯周病が、遠く離れた心臓の病気に関わっているというのは、なかなかイメージしにくいことかもしれません。
簡単にそのメカニズムをご説明いたします。
歯周病になると歯周病菌が歯周ポケット内で増え、歯肉に炎症が起こります。
炎症を起こした歯肉はブヨブヨになりとても傷つきやすくなります。
歯肉が傷ついてしまうと、歯周病菌やその毒素であるリポ多糖が血管内に侵入し、血流に乗って体をめぐり、全身の健康に悪影響を及ぼします。
侵入した歯周病菌や毒素が直接的に悪影響を及ぼすだけでなく、炎症が起きた歯肉で作られる「炎症性サイトカイン」も血流を通じて全身の血管を流れ、動脈硬化や心筋梗塞の原因となります。
動脈硬化を起こした部分からは歯周病菌が数多く発見されております。また、歯周病にかかっている人はそうでない人に比べ1.5から2.8倍、循環器疾患になりやすいといわれております。
しっかりと歯磨きをし、歯周病を予防することは、単に口の中の健康を守るだけでなく、心臓や血管を守ることにもつながるということです。
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歯肉炎と歯周炎の違いとは
2017年08月13日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
皆さんは『歯肉炎』と『歯周炎』の違いをご存じでしょうか?
似た言葉ですが、実はとても大きな違いがあります。
それは『歯肉炎は適切に治療すれば元の状態に戻るもの』であるのに対して『歯周炎は適切に治療すれば健康な状態にはなるが、元の状態には戻らないもの』であるということです。
これはどういうことなのか、今日は『歯肉炎』と『歯周炎』の違いについて書いてみたいと思います。
『歯肉炎』『歯周炎』と似た言葉にもう一つ、『歯周病』という言葉があります。テレビのCMなどでよく聞かれるのがこの『歯周病』という言葉ですね。
『歯周病』とは、細菌が原因で歯肉や歯を支える骨に炎症を起こす病気の総称です。この『歯周病』の中に、『歯肉炎』『歯周炎』というステージがあるのです。
はじめは『歯肉炎』が発症し、そのまま放置していると『歯周炎』へとすすんでいきます。つまり『歯肉炎』とは『歯周炎』になる手前の状態であり、『歯周病』の初期段階です。
『歯肉炎』の段階では、炎症が起きているのは歯肉だけです。歯肉の炎症は適切に対応すれば、2週間程度で元に戻ります。
しかし、『歯肉炎』の段階で適切な対応ができていないと、炎症は歯を支えている骨にまで波及し、骨が溶けてしまいます。このステージに達した歯周病が『歯周炎』です。適切な治療をすると炎症は治まり、健康な状態にはなります。しかし、骨は最初よりやせた状態になってしまい、完全に元の状態には戻りません。
では、『歯肉炎』と『歯周炎』はどのように見分けることができるのしょうか?
実は『歯周病』のステージを見分けるには、レントゲン検査や、歯周ポケット検査など、歯科医院での専門的な検査が必要であり、症状だけでその二つを正確に見分けることはできません。
ちなみに歯周病は、歯の病気というより、歯の周囲組織の病気ですので、人工の歯であるインプラントの周囲にも発症することがあります。
また、歯周病は心臓病や糖尿病などの全身疾患の原因になるともいわれております。(詳しくは綺麗に歯磨きをして心筋梗塞予防を参照して下さい。)
歯磨きのときに出血したり、口臭が気になったりするような場合には、自分で判断せず、一度、歯科医院を受診することが重要です。また、『歯周病』を予防するためには定期的に歯科医院を受診し、お口の中のクリーニングをすることが有効です。
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