まごころ歯科ブログ
『食後すぐ歯磨きはダメ』という説は本当か?
2017年10月11日
こんにちは
まごころ歯科クリニック院長の荻原真です。
子供の頃、私の家の洗面台には『食べたら磨こう!!』というステッカーが貼ってあり、両親から食べたらなるべくすぐ歯磨きするように教わってきました。エチケットとしても、歯を守るためにも、大切なことだと思います。
ところが、最近、食後すぐに歯をみがくと、歯の表面が傷ついてしまうので、食後時間をおいてから磨いた方がよいという話を耳にします。
この話は本当なのでしょうか?
それとも都市伝説のようなものなのでしょうか?
『食後すぐ歯を磨くと、歯の表面が傷ついてしまう』という内容に近い論文は確かに存在します。『象牙質』の酸に対する抵抗性を調べた実験についての論文です。
実験では炭酸飲料に象牙質の破片をつけると、象牙質が弱くなることが示されています。
炭酸飲料は酸性でPh5程度です。歯にダメージが出やすいPhは5.5以下といわれていますので、炭酸飲料を飲むと歯の表面が溶け、傷つきやすくなるわけです。ちなみにPhは低ければ低い程、酸性度が強く、歯へのダメージはでやすくなります。
この実験ではさらに、炭酸飲料でダメージを受けた象牙質の破片を、30分以上、口に含んでいると、唾液の作用で象牙質が再び強くなることが示されております。
唾液には緩衝作用があり、酸を中和する働きがあるのです。
実験の結果から、食後30分以上してから歯磨きした方が良いと言われるようになったのですが、この実験が示しているのはあくまでも、『炭酸飲料を飲んだ直後に歯を磨くと、歯を傷めやすい』ということです。
もっというならば『炭酸飲料を飲んだ直後に歯を磨くと、歯の象牙質を傷つけやすい』ということです。
しかし、実際の口の中は、実験室とは大きく異なります。
『象牙質』の周囲には、『象牙質』よりはるかに頑丈な『エナメル質』があり、象牙質を保護しています。また、炭酸飲料のような酸性の食べ物ばかりをいつも食べているわけではありません。
こうしたことを考慮すると食後すぐの歯磨きで歯を傷つけてしまうリスクはとても小さなリスクといえます。
むしろ食後すぐ歯を磨くことで、口の中の汚れを落とし、虫歯菌や歯周病菌が繁殖しにくい環境をつくることのメリットの方がはるかに大きいと思います。
ですので、炭酸飲料を飲んだ直後に歯磨きをするのは控えるべきかと思いますが、普通に食事した後であればすぐ歯磨きをして全く差し支えないと思います。
まごころ歯科では、虫歯予防のため、食後すぐの歯磨きの習慣を身につけていただくことをお勧めいたします。
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