まごころ歯科ブログ
天然の歯とインプラントの歯の形の違いについて
2017年11月19日
こんにちは
まごころ歯科クリニック・高井戸西予防インプラントセンターの荻原真です。
よく患者様に『インプラントと天然の歯はどう違うのか?』というご質問をお受けすることがあります。
インプラントは人工歯根といわれ、天然歯に近い美しさと咬み合わせをつくることができます。
しかし、天然の歯とは多くの点で違いもあります。
違いを理解することは、インプラント治療をする歯科医にとって不可欠なことですが、治療を受けられる患者様もイメージをつかんでいただくことが重要です。
今日は天然歯とインプラントの違いのなかでも、少々専門的な話ではありますが、『天然歯とインプラントの歯の形の違い』についてご説明しようと思います。
天然歯とインプラントの歯の形に違いは、インプラントの断面の形が円形をしていることから生じます。
インプラントは各メーカー様々なものがありますが、断面をみると、ほとんどが直径3.5mm~4mmの円形をしております。
現代のインプラントはネジのように骨の中に回転させながらいれていく構造になっているので、インプラントの断面は必ず円形になっているのです。
一方で天然の歯の根元部分の断面はだ円形です。特に下の大臼歯は歯根が二つあるため、歯の根元の部分は前後径が長く、円形のインプラントと大きく形が異なります。
ですので下の奥歯にインプラントを入れた場合、天然歯は寸胴なのに対して、インプラントは頭が大きくて足が細い形態になることが多いです。ただし見た目にも、機能にもほとんど影響のないレベルの話です。
下の奥歯を作るとき、形を少しでも天然歯に近付けるためには、天然の奥歯と同じように、本来は2本のインプラントを入れることが必要です。ですが、実際には2本いれることはまれです。
というのも、『インプラントとインプラントの間は3mmの間をあけなければならない』という原則があるため、1本の歯に対し2本のインプラントを入れるにはかなり細いインプラントを使わなければならず、現実的ではありません。また、費用の面でも非合理的です。
ですので、2本分の歯根を持つ奥歯に形や強度を近付けるために、なるべく太いインプラントを1本だけいれるということになります。
ここで問題になるもう一つの原則があります。それは『インプラントの周囲には1㎜の厚みの骨が必要である』という原則です。細い骨に無理に太いインプラントを入れることは好ましくないということです。
この原則に従うと4mmの直径のインプラントをいれるためには、6mmの骨の厚みが必要ということになります。ですが、天然の歯が抜けるとき、歯の周囲にあった骨も一緒になくなってしまうため、インプラントを入れる時点では骨が細くなってしまい、適切な厚みを確保できないことが多くあります。
ですので、歯を抜く時点で、骨が一緒になくならないように、慎重に、特別な工夫をして歯を抜くことが重要です。こうした処置はソケットプリザベーションといわれ、インプラントを前提とした抜歯時によく行われます。また、一度細くなってしまった骨を太く再生する方法もあり、骨造成といいます。
このように、インプラントと天然歯には多くの面で違いがあります。できるだけ天然の歯に近付けるためには、症例ごとに工夫し、慎重に取り組んでいくことが必要です。
まごころ歯科クリニックは、久我山、高井戸周辺地域でより良いインプラント治療を行っていくことができるよう、日々研鑽を重ねております。
こちらの記事もあわせてお読みください。